嗅覚障害からの脱却(後編)

Writer: Rie nishizaka

この話は続きです。初めは「嗅覚障害からの脱却(前編)」をどうぞ。

結局、嗅覚と味覚に障害を持つ生活が始まったわけなのですが、これがまたつらい。
料理を口に入れても砂とか粘土みたいなのを口にいれているような感覚。
そしてもっとつらかったのが、食べ物を口に入れた時に広がる、ゴムが焼けたような焦げくさい臭い。
きっと酸味、甘味などの味覚をとったら最終的に残るのは焦げ臭なのかなぁ・・・なんてことを思っていました。

食べ物にも焦げ臭の強いもの弱いものがあって、食パンとか、野菜のおひたし系のものは焦げ臭が弱い。
逆ににんにくなどをつかったものは焦げ臭が強い・・・。なので、焦げ臭の弱いものばかり食べていました。

3ヶ月ぐらい経ったとき、以前見てくれた先生から連絡があり、久しぶりに受診しました。
診察室には、いつもの先生とは別にもう一人先生がいて、診察とは関係のないことをいろいろ聞いてくるのです。
どこで生まれたのか、両親は健在か、どうして公務員になったのかなどなど。
今までの診察では聞かれたことがないようなことを雑談のような感じでサラサラ聞いてくる。

今でも鮮明に覚えているのは、その先生が最後に言った言葉。
「多分もう少しすれば、無くなった感覚は戻ってくると思う。だからそれまでは自暴自棄にならず自分を信じてこの試練を乗り越えよう。
神様は絶対ご褒美をくれる。時間はかかるかもしれないけれど必ず治るから。」

この記事を書いてても涙出てきますよ。

それからほどなくして年に一度の人事移動があり職場環境が少し変わったんです。
そしたらなんと!少しづつなのですが、感覚が戻ってきたんです。
だんだんと焦げ臭が薄くなってきて、お醤油のしょっぱいっていう味がわかるようになって、甘いっていう感覚がわかるようになって。
臭いも確認できるバリエーションが徐々に増えてきて・・・。
でも完全に戻るには更に半年ぐらいはかかりましたけどね。

あの時の先生はなんだったのでしょう。きっと心療内科の先生だったのでしょうね。
私が話した内容から、状況を読み取って、今の状態がストレス病だということを見抜いたのかもしれません。

確かに当時は人間関係がハードで毎日気疲れしていました。
知らず知らずに不満を殺しているところもあったのかもしれません。
そういったことが積もり積もって、あんな障害のような状態になった。
そして人事異動という大きな人間関係の変化によって、気持ちが切り替わり、また神経系に変化が起きた。
フタを開ければそんななことだったのかも。

嗅覚障害になった私が、今は嗅覚勝負の仕事をしている。これも運命的なものを感じます。

先生があの時おっしゃった「神様のご褒美」、それは病気の完治もそうですが、もしかしたら今の職業を指していたのかもしれません。
結局、あれから一度も会うことの無かった先生。西坂は今こんなに元気です。


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