ばあちゃんの秘伝の傷薬

Writer: Rie nishizaka

子供のころ、遊んでけがをして帰ってくると、祖母がよく薬を塗ってくれた。
当時はどこの家もアカチンが定番で、近所の子供などは膝小僧にアカチンを塗られて、真っ赤になっているのが日常の風景だった。
でもなぜか家だけは、祖母が箪笥の奥のほうから出してくる、不思議な液体のおかげでアカチンの世話になることもなく、手足はいつもきれいだった。
この液体。なぜか不思議なほどけがの治りが早い。
茶色の小さな小瓶に入っていて、中は良く見えないけど、脱脂綿にとるとちょっとどろっとした茶色の液体が出てくる。
擦り傷、切り傷、やけど、なにが起こっても常にこの液体を塗ることで瞬く間に傷跡が消えてた。
このころはまだ子供だったので、なんの違和感も疑問もわかず、「ばあちゃんの油」と呼んでいたような気がする。

でもある日。
何の気なしにテレビを見ていた私の横を、祖母が矢も止まらぬ速さで横切り部屋の隅に向かって走り始めた。
手にはなぜか割り箸。
何かと思いその方面を見ると、視点の先にはでっかいムカデが!
いまだかつて見たことがないぐらい巨大なムカデに唖然とする私と果敢に立ち向かう祖母。
ムカデには絶対に近づかないようにと普段から言い聞かされていたので、正直、それに立ち向かっていた祖母にはびっくりした。
「もしかして私のためにムカデを退治してくれてる?」と思ったのもつかの間、祖母はムカデを箸で掴み茶色の小瓶に入れ蓋をした。
その時に見せた祖母のドヤ顔は今でも忘れない。
そう、祖母はムカデを退治したのではなく瓶に拉致監禁したのだ。

その時ピンときた。
もっもしやあれは、子供のころから親しんできた「ばあちゃんの薬」なのではないかと・・・。
「ばあちゃん、それ何?」
「ん?いっつも理恵には塗ってやってんでねぇか。ほれ怪我した時に塗るあれ~♪」
やっぱり・・・。そう、私が子供のころから塗ってもらっていた不思議などろっとした液体は、ムカデが植物油に溶けた残骸だったんです。

昔の人の知恵とはよく言ったもんで、祖母も子供のころから、そのムカデも油で傷を治していたそう。
確かに良く効くんです。不思議なほどにあっという間に傷がふさがる。あとも残らない。
でも一度聞いてしまったからには、もう使えない。あれが体に触れるなんて・・・。あの時心から思いました。「私の中にムカデが~」と。

それからしばらくして私が久しぶりに実家に帰省した時。
なんと私ムカデに刺されてしまったんです。詳しくはこちらを(「ティートリーとラベンダーの相乗効果」)。
その時にはティートリーのおかげで難を逃れたと思い、喜び勇んでブログまで書いたのですが・・・。

でもよくよく考えたら、ムカデに刺されてすぐに腫れと痛みがひくなんてありえないんですよね。
いくら精油の効果が高かろうと、かなり無理がある。

ティートリーは確かに良い傷薬です。
簡単な傷であればティートリーで治ってしまうのはアロマに携わる人間ならだれでも知っていること。

でもムカデは・・・・。

そこで思ったのが、もしかしたら私にはすでにムカデに対する抗体ができていたのではないかということ。
ばあちゃんが使ってたムカデの油。あれが知らず知らずのうちに私の中で抗体をつくり、ムカデの毒を中和した・・・。

となると、あの時本当に救ってくれたのは、ばあちゃん秘伝の傷薬だった。

う~ん。ありがたいと思う反面、気持ち悪さが残る微妙な感覚。

でもこれが「ザ!民間療法」なのかも。
先人の知恵は素晴らしいでごわす。


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